遺贈とは?相続の違いや留意点について

2022年11月17日

相続との違い

遺贈も相続も故人の遺産を譲り受けるという点では同じですが、まず対象が異なります。
相続とは法律で決められた法定相続人だけが遺産を譲り受ける対象で、法定相続人は故人の親族のうちで相続する順番も決められています。
これに対して遺贈は、法定代理人でなくとも故人が遺書で指名した人や法人が遺産を譲り受ける対象です。
受遺者を選ぶのは故人の遺志であって、特別な条件はありません。
譲り受ける対象者を受遺者と呼びますが、受遺者が何の遺産をどれ位譲りたいか、ということも遺書で決められます。

なお法務局で遺言作成を推奨するケースを公開していますので、参考にリンク先を共有します。

遺言書作成を推奨する人(那覇地方法務局)

遺贈は包括遺贈と特定遺贈の2種類

包括遺贈

包括遺贈とは、遺産の何を譲るということを特定せず、譲る割合を決める方法です。

特定遺贈

受遺者に譲り受ける財産を指定する方法です。
遺言書には受遺者に譲る財産を明記することになります。

甲斐司法書士

配偶者や子、孫でない人に自分の相続財産を引き継がせたい場合には、遺言の作成や財産の引継ぎ手続きが煩雑になることが予想されます。
遺言を作成する際には、『遺言執行者』として弁護士や司法書士を定めることをお勧めします。

遺贈に関わる税金

相続税

遺贈も故人の死亡に起因して財産を受け取ることは相続と同じなので、相続税がかかりますが、法定相続人に比べ、法定相続人以外の相続税は高くなります。

対象税金
法定相続人相続と同じ相続税
法定相続人以外の個人法定相続人の2割増の相続税
法人法人税

登録免許税

不動産を遺贈した場合は、登録免許税が掛かりますが、法定相続人以外の受遺者は税率が5倍となります。

対象税金
法定相続人課税価格の0.4%
法定相続人以外課税価格の2.0%

不動産取得税

相続の場合、不動産取得税は非課税ですが、遺贈で法定相続人以外の第三者が不動産を受け取ることになった場合は、不動産取得税が課税されることになります。

不動産登記手続きにおける相続との違い

不動産の名義変更においても遺贈は相続と異なる手続きが必要です。

項目相続遺贈
変更登記相続人1人で申請できる受遺者と相続人全員もしくは受遺者と遺言執行者での申請が必要
債権者への権利主張登記が無くても法定相続分の権利を主張可能登記していないと権利主張はできない
借地権の引継ぎ大家の承諾は不要大家の承諾が必要
農地の取得許可不要農業委員会または知事の許可が必要

遺贈を放棄し拒否する場合

遺贈は故人の遺志表示ですが、受遺者は負債の承継や税金の納付を考慮して、受取を拒否することができます。その場合、前述の遺贈の違いによって手続きが異なります。

包括遺贈
相続を放棄する場合と同じく家庭裁判所に遺贈放棄の申述を行うことで手続きを行います。
なお期限内に申請しない場合は、遺贈を受諾したものとみなされます。

窓口故人が住んでいた地区を管轄する家庭裁判所
持って行くもの遺書、申述書
期限遺贈の事実を知って3ヶ月以内

特定遺贈
特定遺贈を拒否する場合は、相続人か遺言執行者に意思表示をします。
期限は特にありませんが、遺贈の承諾も拒否も意思表示しない人が1人でもいれば、遺産分割の手続きができず、迷惑をかけることになりますので留意が必要です。

相続人の訴えも可能

例えば包括遺贈によって全財産を特定の受遺者に贈るとされた場合、何も相続できない法定相続人が生じる可能性がありますが、そのような場合、法定相続人は最低限もらえる遺産の権利を「遺留分」として請求することができます。
遺留分の計算は故人と法定相続人の関係により異なるケースもありますが、法定相続割合の1/2が基本です。

受遺者が既に亡くなっている場合

相続の場合、相続人が既に他界している時は、その子に権利が引き継がれます(代襲相続)が、遺贈の場合、受遺者が他界していてもその子に権利が引き継がれることはなく、受遺者に対する遺言書の記述は無効となります。

遺贈のメリットとデメリット

メリット

・遺言者が本当にゆずりたい相手を指定して財産を贈ることができる
・個人だけでなく団体、法人も受遺者にできる
・受遺者が受けとりたくない場合には放棄することができる
・遺言の内容を非公開にしておくこともできる

デメリット

・相続税が相続に比べ高くなる
・不動産の手続きが複雑になる
・遺留分を巡って争いになる可能性がある

トラブルを避けるためにも遺贈を行う場合は、遺産を譲り受ける人の税金を考慮しながら、基本的に包括遺贈よりも特定遺贈を行う方が望ましいと思われます。
また遺贈を検討する場合は、受け取る方のことも考慮して、税理士に確認することをお勧めします。