葬儀費用は相続税控除の対象?控除できる内訳とできない費用
本記事では、相続税から控除できる葬儀費用の内訳とできない費用の境界線を解説。適切な申告で税負担を減らし、スムーズに手続きを終えるために、ぜひ最後までご覧ください。
葬儀費用は相続税控除の対象になる
結論から言うと、葬儀費用は相続税の計算上、遺産総額から差し引く(控除する)ことができます。
相続税の「債務控除」とは?
葬儀費用を遺産から差し引くこの仕組みを、専門用語で「債務控除」と呼びます。
通常、借金や未払いの医療費などが債務控除の対象となりますが、葬儀費用もこれに含まれます。例えば、遺産が5,000万円あり、葬儀費用に200万円かかった場合、課税対象となる遺産額を4,800万円として計算できるわけです。
ただし、無条件ですべての費用が引けるわけではありません。「社会通念上、葬儀に欠かせない費用」のみが対象となることには注意が必要です。
参考:国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
誰が支払うべき?喪主負担と遺産からの支出
葬儀費用は「実際に負担した人」だけが控除を受けられます。一般的には喪主が支払いますが、もし兄弟で分担した場合、それぞれの負担額に応じて控除を分け合います。注意点は、「相続人ではない人」が支払っても控除できないということ。
例えば、相続権のない孫や、内縁の妻などが善意で支払った場合、その分は相続税の計算から引けません。節税を意識するのであれば、相続人(主に喪主)が支払うか、一旦誰かが立て替えて後日遺産から精算する形をとるのが賢明です。
相続税控除できる葬儀費用の内訳
控除対象となるのは、「故人の死亡から埋葬までにかかった、儀式に不可欠な費用」です。
葬儀社への支払い(通夜・告別式・火葬料)
葬儀のメインとなる費用は、ほとんどが控除対象です。具体的には以下の項目が挙げられます。
- 通夜・告別式の施行費用(祭壇、棺、遺影写真など)
- 葬儀場・斎場の利用料
- 火葬料・埋葬料・納骨費用
- 車両関係費(霊柩車、マイクロバス、タクシー代)
- 葬儀を手伝ってくれた人への心付け(運転手や火葬場係員へのお礼)
葬儀社から発行される請求書の明細をしっかり保管しておきましょう。
寺院・宗教者への支払い(お布施・戒名料・読経料)
お寺や神社、教会へ支払う謝礼も控除の対象です。
- 読経料
- 戒名料(法名料)
- お布施
- お車代・お膳料
これらは通常、領収書が発行されないケースが多いですが、支払った事実があれば控除できます。
参列者への飲食接待費(通夜ぶるまい・精進落とし)
通夜や告別式の際に、参列者に振る舞う飲食代も「葬儀に伴う費用」として認められます。
- 精進ぶるまい(寿司、オードブル、お酒など)
- 精進落とし(火葬後の会食費)
- 会葬御礼(参列者全員に渡す1,000円程度のハンカチやお茶など)
これらは弔問客への接待として慣習化しているためです。ただし、身内だけで行った二次会のような飲食費は対象外と見なされる場合があるため注意してください。
相続税の控除対象にならない費用
葬儀費用には関連していても控除できない費用が存在します。
香典返し・引出物にかかる費用
いただいた香典のお返し(半返しなど)にかかる費用は、控除対象外です。理由は、「香典そのものが非課税(収入とみなされない)」からです。
入ってくるお金(香典)に税金がかからない以上、それに関連する出費(香典返し)も経費として認めない、ということになります。
墓地・墓石・仏壇の購入費用(祭祀財産)
お墓や仏壇の購入費は、金額が大きくても控除できません。これらは「祭祀財産」と呼ばれ、相続税がかからない「非課税財産」だからです。非課税のものにお金を使っても、債務控除にはなりません。
もし節税を考えるなら、これらは生前に購入しておくのが鉄則。生前に買えば、その購入費の分だけ手持ちの現金(課税対象となる遺産)が減るため、結果として相続税対策になります。
初七日法要・四十九日法要などの法事費用
原則として、葬式と法要(法事)は別物として扱われます。初七日や四十九日は「追善供養」にあたり、葬儀費用には含まれません。
ただし、「繰り上げ初七日(告別式と同じ日に行う)」の場合に限り、葬儀費用の一部として認められるケースがほとんどです。別日に行った法事の費用や、それにかかった飲食代は控除できないと覚えておきましょう。
遺体の解剖費用や相続手続きの費用
葬儀そのものではない以下の費用も対象外です。
- 医学上の必要性で行う遺体の解剖費用
- 司法書士や税理士に支払う相続手続きの報酬
- 遺産分割協議書などの作成費用
これらはあくまで手続きや検査の費用であり、故人を弔う儀式の費用ではないためです。
領収書がない葬儀費用も税務署に認めてもらう記録術
「お布施に領収書なんてないけれど、どうすればいい?」このような不安を持つ方も多いでしょう。結論として、領収書がなくても「明確な記録(メモ)」があれば税務署は認めてくれます。
お布施や心付けは「メモ」で対応
税務署も、お寺や心付けの慣習として領収書が発行されないことは熟知しています。そのため、無理に領収書を請求する必要はありません。
その代わり、喪主自身が作成した記録が証拠書類となります。
記録に残すべき必須4項目(日時・支払先・金額・内容)
ノートやExcel、あるいはスマホのメモ機能でも構いませんので、以下の4点を必ず記録してください。
- 支払った日付
- 支払った相手(〇〇寺 住職、霊柩車運転手など)
- 金額
- 内容(戒名料として、心付けとしてなど)
より信憑性を高めるために、現金を封筒に入れた日の「銀行の出金伝票」や「通帳のコピー」をセットにして保管しておくことをおすすめします。
相続税申告をスムーズにする葬儀の準備と記録
葬儀費用の相続税控除を最大限に活用し、税務署とのトラブルを避けるためには、「葬儀社選び」と「見積もり段階」からの準備がカギを握ります。
見積もり段階で確認すべき明細の項目
葬儀社を選ぶ際は、「葬儀一式 150万円」といった大雑把な見積もりを出す会社には注意が必要です。
「一式」の中に、控除対象外である「香典返し」や、課税・非課税の判断が分かれる項目が混ざっていると、後で自分で仕分けるのが非常に困難になるからです。最悪の場合、税務調査で内容を疑われる原因にもなりかねません。
契約前に必ず「費用ごとの内訳が明細に出ているか」を確認してください。もし記載があいまいなら、内訳書の再発行を依頼しましょう。
税務調査に備えた書類の保管方法
相続税の申告書を作成する際、または税理士に依頼する際、もっとも役立つのは「整理された明細書」です。
ベルコでは、遺族が葬儀後の手続きで困らないよう、透明性の高い「明朗会計」を徹底しています。
大切な方を送った後の事務手続きは、想像以上に心身の負担となるものです。費用のことだけでなく、お葬式の流れや具体的な手続きに不安を感じている方はベルコの「お葬式なるほどチャンネル」もぜひご活用ください。









