親が亡くなった時に行うべき届出と相続手続き(届出編)

2022年11月25日

ある日突然、親が亡くなることは誰しもあることです。
お葬式は出席した経験がありますので、葬儀社に相談することは分かっても、親が亡くなることを考えたくない、後回しにしたいと思う気持ちがあって、葬儀の後どのようなことをすれば良いのか、よく分からない人が多いと思います。
中には期限が決められていて、知らなかったでは済まされないものもありますので、次のような内容でリストアップしていきます。

親が亡くなったらすぐに行う届出手続き

親が亡くなったらすぐに行う手続きは次のとおりです。実家から離れたところに住んでいて、お勤めの方は、忌引き休暇中に行う必要がある手続きです。

何をどこでいつまでに
通夜・葬儀・納骨葬儀社
死亡診断書の受け取り病院すみやかに
死亡届の提出市区町村7日以内
火葬許可申請書の提出市区町村死亡届提出と同日
世帯主変更届の提出市区町村14日以内
健康保険資格喪失届の提出
(国民健康保険の場合)
市区町村14日以内
年金受給者死亡届の提出年金事務所10日以内
甲斐司法書士

相続に関連する届出の多くは、亡くなった方がお住まいであった各市町村役場(本庁)ですることができます。事前に電話で問い合わせ、持ち物を確認しておくことで、届け出の手続きを円滑に進めることができます。

通夜・葬儀・納骨

親が亡くなったらまずはお葬式を執り行う手配をします。
具体的には次のようなことを行いますが、実家から離れている場合は移動しながらの手配になりますので、「慌てずに速やかに」行ってください。

 地元の葬儀社の手配
 葬儀日程の確定
 お付き合いのお坊さん等の手配
 兄弟等で手分けして親戚、勤め先、交友関係に連絡

ポイントは葬儀社をどこにするかです。親が亡くなった後にネットで手あたり次第に調べて手配するケースが多いと思いますが、とにかく焦った中での判断なので、悪質業者にひっかからないとは限りません。
あらかじめどこにするか相見積もりをとって候補を決めておくことをお勧めします。
また相続税の対象となる人は、控除する証書として、葬儀、相続関係の領収書を全て保管しておいてください。

お葬式

死亡診断書の受け取り

死亡診断書(事故死の場合は死体検案書)は医師が作成しますが、複数の手続きに必要となりますので、受領したら、まずは数枚コピーを取っておいて下さい。

死亡届の提出

火葬許可申請書の提出

死亡届と火葬許可申請書は同時に行います。火葬許可申請書は火葬の際に必要になりますので、お葬式の打ち合わせの合間に市区町村へ行き、手続きを行います。
必要なものは次のとおりです。なお、戸籍に反映されるまでに数日かかります。

手続き持って行くもの
死亡届の提出
火葬許可申請書の提出
死亡届
印鑑
火葬料

世帯主変更届の提出

亡くなった方が世帯主で、戸籍に残る家族が2名以上いる場合は、世帯主の変更届を市区町村に提出します。必要なものは次の通りです。

手続き持って行くもの
世帯主変更届の提出印鑑
本人確認資料
国民健康保険証(加入者)

健康保険資格喪失届の提出

亡くなった親が自営業者や後期高齢者だった場合は、市区町村で健康保険の資格喪失届を行います。
必要なものは次の通りです。

手続き持って行くもの
健康保険資格喪失届の提出保険証
戸籍謄本(死亡届後に発行したもの)
本人確認資料
相続人の印鑑等(後期高齢者)

年金受給者死亡届の提出

亡くなった親が年金受給者だった場合は、年金事務所で年金受給を停止する手続きを行います。
必要なものは次の通りです。

手続き持って行くもの
年金受給者死亡届の提出故人の年金証書
死亡診断書
戸籍謄抄本(故人と請求者の関係を表す書類)
故人の住民票(除票)
相続人全員の住民票
振込を希望する銀行通帳(コピー)

手続きができる人は、配偶者⇒子⇒父母⇒孫と順番が決まっています。
念のため年金事務所の該当リンク先を貼っておきます。
年金を受けている人が亡くなった時(日本年金機構)

落ち着いたら行う届出手続き

葬儀が終わり、落ち着いた頃に行う主な手続きは次のとおりです。

何をどこでいつまでに
公共料金等の停止、変更各社
戸籍謄本等の取得市区町村
故人の準確定申告税務署4カ月以内
葬祭費の申請市区町村2年以内
死亡一時金等の申請市区町村2年以内
生命保険の申請保険会社3年以内

公共料金等の停止、変更

地味に時間がかかる手続きですが、郵送物や銀行通帳を確認の上で、解約や請求先変更を行います。
主な連絡先は次のようなところですが、特に口座引き落としとなっている支払先を優先的にストップします。

 電気、ガス、水道の解約・変更
 固定電話、携帯電話、インターネットの解約・変更
 クレジットカードの解約
 各種有料会員の解約

ただどのような契約をしていたのか、どのように把握するのかが悩みどころですので、詳細は次のコラムでまとめています。

戸籍謄本等の取得

次の書類は相続手続きに求められますので、特に実家が遠方の場合は四十九日等で帰省した際に市役所で入手しておきます(郵送も可)。

 生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
 住民票(除票)

故人の準確定申告

故人の準確定申告は、次のようなケースで提出が必要となります。

  • 医療費控除を申請する必要がある
  • 2カ所から給与をもらっていた。
  • 個人で事業を行っていた

例えば収入が年金だけで400万未満という人は申告の必要がありません。
一番多いケースだと年金受給者で、病気で亡くなり高額な医療費が控除対象となっている方だと思いますが、申請に必要な資料は次の2点です。

 死亡した年度の源泉徴収票
 死亡した年度の医療費の請求書

この2つの資料が揃っていれば、申告書は自分で作成できます。
年金受給者の場合は、年金事務所に死亡届を提出後に源泉徴収票が送られてきます。
医療費の請求書は1/1から死亡した時までのものですが、全てとっているとは限りません。健保に連絡して医療費明細と照合します。

税務署の職員は、一般の納税者に親切ですので、一度税務署で直接確認することをお勧めします。

ただ確定申告を経験したことが無い会社員や公務員の方にはハードルが高いかもしれません。
税金はきちんと申請すれば戻ってくる場合がありますので、確実に行うためには税理士のポータルサイトで税理士を探すこともお勧めします。

葬祭費の申請

国民健康保険・後期高齢者医療制度の加入者は「葬祭費」という名目の弔慰金を市役所に申請できます。
必要なものは次の通りです。なお、葬儀を行っていない場合は給付されません。

手続き持って行くもの
葬祭費の申請印鑑
住民票
葬儀社の領収証

会社員や公務員の場合は厚生年金へ「埋葬料」という名目の弔慰金を申請できますので、お勤め先の健康保険組合に連絡してください。

死亡一時金等の申請

国民年金を3年以上納めていた方が年金を受給しないで亡くなった場合は死亡一時金の申請ができます。
また遺族の年齢によって遺族基礎年金等を申請できますので、受給資格があるか市区町村に確認してください。

生命保険の申請

保険金の受取人だけが申請をすることができます。
保険会社によって必要書類が異なりますが、必要な資料は次の通りです。

手続き持って行くもの
保険金の申請印鑑
印鑑証明
故人の住民票
戸籍抄本
死亡診断書
保険証書

相続関係を除く一般的な届出は以上です。

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