相続財産は何?と何?はっきりさせたい相続財産

2022年12月15日

菅原道明(行政書士)

すべてが相続財産

結論から申し上げますと、相続財産は故人の所有するすべての所有物です。ただし何から何までとある程度決めておかないと遺産分割協議もままならないので、話し合いの対象となるような資産に限定するものです。例えば「形見分け」のように、故人の所有していたものを思い出として譲り受けたい場合は、それがいわゆる高級時計で、市場での価値が高いものになると、遺産分割協議の争点となります。しかし、相続人同士で異論がなければ相続財産に含まれないということです。つまり、金目のもので、遺産分割協議の争点となりそうなものが相続財産となります。

相続財産のアレコレ

考えられる相続財産についてひとつひとつ見てみたいと思います。

現金・預貯金

いわゆるお金ですが、これは故人が必ず所有している資産になります。相続財産は亡くなった時点で所有しているものなので、生活している以上お金は必要なものです。預貯金については、亡くなった時点で口座は凍結します。しかし、金融機関がその口座名義人が死亡したことを知らなければ、口座はそのままなので、ATM等で簡単に引き出しできてしまいます。あくまで本人に委任されてATMで引出しするものなので、死亡しているのに委任されているというはあり得ません。不正な引出しを防止するためにも、すぐに金融機関に知らせたほうがいいでしょう。

その他の金融資産

その他の金融資産として、債券、株式、外貨等があります。これらは価値が変動するものなので、死亡した時点での評価額で算定します。解約して現金化する場合と、そのまま名義変更する場合とあります。

不動産

土地、家屋の不動産です。これも価値が変動するため、死亡した時点での評価額で算定します。評価額をどう見積もるかは自由ですが、土地の相続税の評価額は税務署が定める方式により算定します。路線価という方式とその他に市町村の固定資産税の評価額をもとに求める倍率方式があります。その決められた地域によって異なります。家屋は市町村の固定資産税の評価額になります。

動産

動産は動く資産のことで、自動車、船などです。自動車はいわゆる高級車で市場価値が高い場合には相続財産に含めますが、それ以外の自動車は名義変更してそのまま乗るか、処分するかします。

美術品、骨とう品、高級時計、宝石、貴金属

これらも市場価値が高く、遺産分割協議の争点になるような場合があります。

死亡保険金

死亡保険金は、相続財産になる場合とならない場合があります。なる場合というのは、故人が保険金を負担していて、受取人が本人になっている場合です。この時、死亡保険金は相続財産になります。しかし、受取人が本人以外の場合は、相続財産に含めません。死亡保険金は契約者、被保険者、受取人によって、それぞれ対象となる税金が異なります。しかも先ほど相続財産に含めないと解説した死亡保険金は相続税のみなし相続財産には含まれます。

生前贈与した資産

数年前の改正により相続税の相続時精算課税という制度ができて、生前贈与のケースが増えています。これは一定の要件を満たせば、生前贈与した資産は贈与税の対象とせずに、相続発生した時に相続税に含める、というものです。
それから相続税の非課税額が下げられたことから、相続財産隠しのように、あらかじめ預金等を減らすようなこともあり、一定期間さかのぼって資産の調査を行います。そのため、悪意のないものであっても、生前に処分した資産についても明らかにする必要があります。
遺産分割協議において、争点のひとつとなるのがこの生前贈与した資産についてです。親から住宅資金を援助してもらったとか、結婚式資金を援助してもらったとか。細かいことまで考えるときりがありませんが、この辺も明らかにしておいたほうがいいでしょう。

葬儀費用

相続が発生していれば、当然にして葬儀も行われるものです。葬儀費用は香典など頂戴するものの、会場費用、お布施など相当の費用負担が生じます。一般的には相続財産から差し引くものです。

負債

故人に借金がある場合は、相続人に引き継がれます。相続財産に含めるもので、プラスの財産よりもマイナスの負債が小さければ、それを差し引いた相続財産を分配します。しかし、マイナスのほうが大きい場合は、相続人が意図しない負担を強いられることになります。この場合には、相続放棄といい、相続財産も負債も相続しない、ということが可能です。

まとめ

知っているようで知らない相続財産について解説しました。何度か説明したとおり、遺産分額協議で含めた方がいい財産と、相続税の対象となる財産が一致しない場合があります。まずは財産目録を作成して、全体を把握することからはじめましょう。