葬儀を安く挙げる方法3つ!それぞれのメリットデメリットについても解説

2022年11月23日

現在は、「残していく人に対して金銭的な負担を掛けない葬儀」を希望する人も多くなってきました。このような希望に応えるためには、どのような方法が考えられるのでしょうか。

鍋谷 萌子(葬祭評論家)

1. 葬儀の規模を小さくする

葬儀を安く挙げるための基本として、「葬儀の規模を小さくすること」が挙げられます。
葬儀の規模を小さくすれば、借りるホールも小さくなり、会場使用料が安くなります。
また、会場が小さければ祭壇も小さくすることができて、そこに飾る花の本数も減らせるため祭壇費用も安くできます。
さらに、関わってくる葬儀会社のスタッフの人数も少なくできるため、人件費も大きく削減できます。
通夜振る舞いの席の食事の量も少なくできることから、飲食費用も軽減できるでしょう。
なお一部の特例を除き、呼ぶ宗教者の数も葬儀の規模によって左右されますから、小規模な葬儀であればあるほどお布施の金額も抑えられます。

なお現在は、葬儀会社は「故人の状況(年齢や職業など)+ご家族の状況」を合わせて考慮し、「来るであろう人数」を試算したのちに、最適なプランを提案してくれるようになっています。

そのため、「来る人の数は10人しかいないのに、200人も入れるようなプランを勧められる」などのような状況に陥ることは極めて少ないといえます。一般的な葬儀会社であるならば、ご家族が「参列者の数は少ないが、それでも最後だから広いホールで大きな祭壇で送りたい」と希望しない限りは、大きすぎる規模の葬儀を提案することはないはずです。

2.家族葬や直葬を利用する

上記では広く弔問客を招く一般葬のかたちを想定していましたが、「残された家族が声を掛けた人しか呼ばない」という選択肢もあります。
それが、「家族葬」です。

一般葬は基本的には通夜と葬式・告別式の2日に渡って行いますが、家族葬の場合は通夜を行わない「一日葬」や、通夜も葬式・告別式も行わず火葬場でお別れする「直葬(火葬式)」を選択しやすくなります。なお、葬儀会社が掲げる「葬儀最低〇万円から」の最低額は、この「直葬」のときの金額です。ホールを借りることなく行う直葬は、数多くある葬儀のスタイルのなかでもっとも費用を抑えられる形式です。

一部の特例を除き、家族葬は一般葬よりもずっと小さな葬儀となります。そのため、「小さな規模の一般葬」を行う場合よりもさらに葬儀費用を抑えることができます。また、家族葬の場合は来る人の数をご家族側が正確に把握できるため、実際にかかる金額を見積もり段階で正確に予想できます。

なお現在は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあり、「二日間にわたって家族葬を行うが、会食のスタイルを取る精進落としの席は設けない」という葬儀もよく行われるようになりました。このように飲食をしない葬儀のスタイルにするもしくはお弁当+お茶を持ち帰ってもらうスタイルにすれば、さらに費用は抑えられるでしょう。

ただしこの方法の場合、寄せられる不祝儀の額も少なくなります。そのため、「たしかに葬儀の費用自体は抑えられたが、入ってくる金額も少なくなった。一般葬で広く人を受け入れた方が、支出額は小さくなったかもしれない」という状況になることもあり得ます。特に亡くなった人やご家族が現役世代であったり、交友関係が広かったりした場合は、このような状況に陥る可能性が高くなります。

3.無宗教の葬儀にする

意外に思われるかもしれませんが、葬儀にかかる総額のうちの4分の1を「宗教者へのお布施」が占めています。つまり「総額200万円の葬儀」の場合は、そのうちの50万円程度が宗教者へのお布施となっているわけです(※信じている宗教・宗派や、宗教への帰属意識の高低によって多少の変動はあります)。

このため、無宗教の葬儀にすればそれだけで費用は格段に安くなります。現在は音楽だけでお見送りする音楽葬などの選択肢もあるため、これを検討してみるのもよいでしょう。

ただし無宗教の葬儀にした場合、親族などから反発が起きる可能性があります。たとえ故人が「無宗教の葬儀で」と希望していたとしても、宗教への帰属意識が高い親戚がいた場合は、その人としっかり話し合う必要があります。
また、いわゆる「先祖代々のお墓」が寺院にあるご家庭の場合、無宗教の葬儀(=お墓があるお寺の僧侶を呼ばない)を行った場合、納骨を断られる可能性があります。現在は柔軟な考え方をするお寺も増えてきましたが、「うちの墓地はあくまでうちの宗派を信じる人のためにあるものであって、そうではない人のご遺骨は収容できない」と考えるお寺もあるからです。

そのため、無宗教の葬儀を行うのであれば、墓地とその運営団体の確認は必須です。

葬儀は亡くなった人に心を寄せ、ご家族が大切な人の死を受け入れるために行うものです。このような性質を持つ葬儀の価値は、葬儀に掛ける金額によって左右されるものではありません。故人の気持ちに寄り添い、ご家族にとって負担の少ないかたちにしていくことが何よりも重要です。

参考:
https://www.koekisha.co.jp/fee/plan/family/about/
https://www.e-sogi.com/guide/413/