相続登記にかかる期間は?名義変更の期間を少しでも短縮する方法
相続した不動産の名義変更(相続登記)にどれくらいの時間がかかるかについて、多数の相続登記を解決した実績をもつ司法書士が解説します。
令和6年4月から、相続登記が義務化され、相続開始から3年以内に不動産の名義変更を申請しなければならないことになります。さらに、実際にはもっと早く手続きを終わらせる必要があるケースがほとんどです。
なぜなら、相続税の申告のために不動産の売却、さらに次世代への財産承継・事業承継、相続後の資産活用を行う上で、相続登記を含む遺産承継手続きを早急に終わらせておく必要があるためです。
相続登記は、登記申請書を法務局に提出して行いますが、申請書を提出する前には戸籍謄本などの必要書類を集めるなど、様々な役所に何度も通う必要があります。相続登記がはじめての方には、期間が読めずお悩みかもしれません。相続登記にかかる平均的な期間の目安を解説します。
甲斐 麻莉子(司法書士)
相続登記の手続にかかる期間の目安
それでは早速、相続登記(相続した不動産の名義変更)にかかるおおよその期間について、手続を行う順序にしたがって解説していきます。
なお、今回解説する期間はすべて、ミスや補正なく相続登記をスムーズに進めることができた場合の期間です。申請書の記載漏れやミスがあったり、必要書類の添付漏れがあったりすれば、その分だけ相続登記にかかる期間は長くなります。
自分ひとりで相続登記を正確に進めていく自信のない相続人の方は、不動産の名義変更専門WEBサービスのイーライフ相続登記にご依頼ください。
不動産の調査を行う:1~2日(オンラインなら1時間!)
相続した不動産の名義変更をするためには、相続した不動産を調査する必要があります。実際の所在地を調査するのではなく、不動産登記事項証明書を法務局で取り寄せたり、出向いて取得することで、不動産の所有者や現在の法律関係を調査するのです。
固定資産税の納税通知書から住所ではなく、不動産所在地の正式な地番をしらべます。自宅不動産をはじめ、建物がある場合には、「土地と建物はそれぞれ別の不動産」ということに注意しましょう。
また、不動産登記事項証明書をオンラインで見ることもできます。「登記情報提供サービス」の一時利用を使うことで、一瞬で現在の不動産の権利状態を確認することができます。
戸籍謄本を収集する:2週間~
相続登記を法務局に申請するためには、必要書類を添付しなければなりません。そして、相続登記に必要となる書類は、戸籍謄本や住民票をはじめ、非常に多く存在します。
これらの必要書類は、遠方の地に点在していることもあり、また、相続を証明するための戸籍としてどの範囲の戸籍が必要かについても専門的な戸籍の知識が必要です。これら、相続登記の準備段階で、取得にかなりの期間を要することがあります。
遺産分割協議書を作成する:1週間~
相続登記をする場合で、遺言がなく、法定相続分で登記をしない場合には、遺産分割協議をしなければなりません。つまり、誰が、どの割合で相続した不動産を取得するのかを決めなければなりません。
相続人間の話し合いで、遺産分割についてまとまれば、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書も、相続登記の必要書類となります。
特に長期化しやすいのが遺産分割協議書の作成です。
協議書自体はインターネットのひな形等をつかって作成することができますが、全員が内容に納得した上で押印し、印鑑証明書の添付が必要です。
司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合、日本司法書士協会が2018年1月に行ったアンケートによると、平均で6~8万円です。
なお、イーライフ相続登記では遺産分割協議書の自動作成もサービスに含まれています。
登記申請書を作成する:数日
もし不動産取引や法務知識がある場合、登記申請書の作成は法務局のひな形をもとにして、自分で作成することもできます。
法務局で相談も可能ですが尋ねたこと以外は答えてもらえず、前提となる必要情報はすでにまとまっていることが前提ですので、遺産分割協議自体や戸籍収集は済んでいる必要があります。
相続登記申請をし、完了まで:1週間~2週間
相続登記申請書を法務局提出し、登録免許税を支払うと、法務局において登記官による審査が行われます。
法務局で登記官が行う審査とは、申請書と、必要書類の形式的な審査です。そして、これにかかる期間は、各地方の法務局ごとに異なり、不動産の個数や相続人の人数に大きく左右されます。
登記識別情報の受領、登記簿謄本の取得:1週間
無事に相続登記が完了したら、法務局から、相続登記が完了した旨の通知を受け取ります。
相続登記にかかる期間を短縮するには?
相続登記にかかるおおざっぱな期間を司法書士が解説しました。自分で相続登記をする場合、効率よく手続きを進めた上で、期間にも余裕を持たせる必要があります。
相続登記を速やかに行いたい場合、相続登記にかかる期間を少しでも短縮するには、どうしたらいいのでしょうか。自分で相続登記をする際の期間短縮テクニックを紹介します。
戸籍収集を迅速に行う
各市町村に戸籍収集の至急の処理をお願いすることで、急ぎで戸籍収集を行うことができる可能性があります。また、多くの市町村に一斉に郵送手続きを行うことで、タイムロスを防ぐことが可能です。
自分で戸籍収集をする際には、各市町村のホームページをよく読み、定額小為替や必要書類の不足がないように気を付けるとよいでしょう。
他の相続人に協力してもらう
複数の相続人がいて、遺産分割協議によって相続登記手続きをする場合には、相続人全員が遺産分割協議書に押印して、印鑑証明書を添付する必要があります。事前に集まって協議書に押印をもらえれば、1日でできますし、郵送で押印をもらう場合にも、事前に説明して印鑑証明書を用意しておいてもらうことで、手続きをスムーズに進めることが可能です。
申請書などの記載を正確に行う
相続した不動産の所有権名義を変更するときに利用する相続登記申請書は、法務局に行ってから記入することはできず、予め自分で用意して持っていく必要があります。
申請書など、重要な書類に記入漏れがあったり、誤記、転記ミスがあったりすると、補正が必要となり、何度も法務局へ出向かなければなりません。法務局は平日日中しかやっていないので、補正が繰り返されると何度も仕事を休む必要があります。
申請書など重要な書類の補正ごとに期間がかかっていると、ますます相続登記にかかる期間は長期化します。ミスなく正確に記載することが、期間の短縮化につながります。
相続登記にかかる全ての期間をあわせると?
以上のとおり、相続登記の手続きの順番にしたがって、それぞれの段階でかかる時間について司法書士が解説しました。
結局、合計で相続登記(相続した不動産の名義変更)にどの程度の期間がかかるかについて、まとめると次のとおりです。
相続登記申請までの準備期間
:およそ2か月~2か月半
相続登記申請後、登記完了まで
:およそ1週間~2週間
これを見ても、相続登記申請の準備、すなわち、相続人側でできる作業を、いかに短期間で終わらせるかが、相続登記の期間を縮めるための重要なポイントであることをご理解いただけるでしょう。
法務局はどれくらいの期間で対応してくれるの?
相続登記の申請書を法務局に提出してから、相続登記が完了するまで、法務局での作業がどの程度かかるかは、事例ごとに大きく異なります。
期間のポイントは、相続人は何人いるか、相続関係は複雑か、不動産の物件数などです。これらが多くて複雑なほど、法務局の審査にも時間がかかるのです。
一般的には、都心部の法務局ほど、申請される名義変更の登記数が多く、込み合っている傾向にあります。また、コロナによる法務局の出勤人数調整や、年末年始・お盆などの職員の休みも関係してきます。
私の経験上、例えば、相続した不動産の名義変更をするための相続登記で、東京の法務局に申請をした場合1週間~2週間程度で登記が完了することが多いようですが、あくまで参考の目安としてください。
また、登記申請にいく時間帯についても、法務局の混み合う時間帯を避けて訪問するのが、相続登記にかかる期間を少しでも短縮するポイントです。次の情報はいずれも経験にもとづいたイメージですが、参考にしてください。
法務局の繁忙期(季節)
:12月~3月
法務局の閑散期(季節)
:7月~8月
法務局の忙しい時間帯
:15時~17時
法務局の暇な時間帯
:9時~11時
特に不動産の相続手続きは、親戚が集まるお盆・年末年始以降に手続きを始めようと考える方が多いようです。
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いかがでしたでしょうか?
今回は、少しでも早く相続登記を完了して、相続不動産を有効活用したい相続人に向けて、「相続登記にかかる一般的な期間の目安」について解説しました。
実際には不動産取引や法務知識の有無で差があり、経験がない方は手続きを行うには関連法令を調べる時間にかなりの時間を要します。
イーライフ相続登記は名義変更に関するノウハウを全て詰め込んでいますので、申請までに掛かる期間は平均で2ヶ月、最短で1ヶ月です。
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